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り、NPO(Non−profit O?ranization)の概念とも重複している。
それではここで本報告書の概要について説明しておこう。報告書は「はじめに」につづく、3つのパート全7章で構成されている。以下、各章ごとに内容を紹介する(なお、括弧内は執筆者である)。
最初のパート「?T 理論と問題状況」では、「市民セクター」の概念や研究動向を紹介し、さらに自治体がどのような支援を実施しているのかについての現状を把握する試みが行われる。
第1章「市民セクターと行政の連携−研究動向と分析視角−」(前田成東)では、本調査研究の対象である「市民セクター」概念と「サード・セクター」「ボランタリー・セクター」等の概念が類似していることを指摘したうえで、これらのセクターにかんする研究の動向と行政との関係を考察する際の分析視角をしめす。研究動向については、まず欧米の文献に焦点を合わせ、T・レヴィットによる「サード・セクター」と圧力団体的性格をもつ新サード・セクター」の分類、レスター・M・サラモンおよびヘルムート・アンハイヤーによる欧米の比較研究等について紹介する。日本については、近年相次いで公刊されている各種の報告書を紹介し、そこでの論点を確認する。さらに、市民セクターと行政との連携について、「協働」「分担」「競合」「先行」という軸を仮に設定し、両者の関係を把握するための若干の試みを行う。
第2章「自治体による市民セクター支援政策の現状と課題」(牛山久仁彦)では、日本において地方自治体が市民セクターの活動に対してどのような支援方策を行っているのか、また、その現状は満足のいくものなのか、今後どのような制度が展望されるのか等について検討している。阪神・淡路大震災や日本海重油流出事故等の大災害でボランティアが果たした役割は大きい。従来そのような役割は第一義的に行政が担うべきとされていたが、そうした理解は過去のものとなりつつある。今日では、福祉、医療、教育、文化等、広範囲にわたって市民活動が展開され、公共的役割を行政と分かち合っているともいえる。本章では、自治体が行う市民活動への資金的援助、人的援助、惰報提供、活動場所の提供などをふまえ、行政機構整備を視野に入れる一方で、市民活動の自立性をどのように担保するのかという視点も重要視している。

 

続いて「?U 事例研究:日本」では、急速に活動範囲を拡大している日本の市民セクター活動の諸側面を財政支援および組織管理の側面から考察している。
第3章「市民セクターへの財政支援」(堀雅晴)では、主として地域福祉基金制度を事

 

 

 

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